普通ってなんだろう

昼食にひとりで店に入り、案内された席。隣の席には30そこそこの上司と部下らしき二人組。何か失敗でもしたのか、「〇〇って考えるのが普通だろ!」「普通そんなことしないだろ!」「普通に考えておかしいだろ!」と険しい顔で責め立てる上司。そして「普通じゃない」と何度もダメ出しされ、うなだれる部下。

二人が席を立った後、考えてみた。「普通」ってなんだろう。

あの上司の「普通」と部下の「普通」。
「普通じゃない」という言葉だけで片付けられていたが、あの部下は自分のどんな考え方、感覚が失敗の原因だったかを理解できたのだろうか。
そして上司は、部下の「普通」が何だったかを知ろうとしたのだろうか。あの様子では単に怒りをぶつけ、萎縮させただけ。店を出る二人の後ろ姿は負のオーラ。

自分の「普通」と相手の「普通」。
この「普通」という枠は、育った環境や躾、友人関係、学校や職場での出来事、その人が積み重ねてきた経験の中で出来たもの。だからまったく同じなわけがない。それなのに、わざわざ確認しなくても他の人も同じように感じてると思い、相手と合わない部分に自分の「普通」を押し付けてしまう。
相手が自分の枠に収まらない、自分の思い通りにならないからイライラする。
「普通」。深く考えずによく口にするが、使い方次第で相手も自分も苦しめる。

社会人二十数年、新入社員を迎えた春。自分の「普通」に凝り固まらず、しなやかな自分でいようと改めて決意した。